その他英語圏のゴシック・ロック概説

当然、英語圏なのでこれらの国にもかなりリアルタイムで飛び火した。

オーストラリア・ニュージーランドの動向

プレゴシック・ロックの時代

ニュージーランドにおいては、1970年代から活動しており、パフォーマンスや楽曲面においてほぼイギリスと同期していたので、国外でも有名なバンドがいくつか存在する。

例えば、ほぼニューウェーブ側の存在といっても過言ではないのだが、Split Enzは暗いPVなど、割と近しいところがある。

Split Enz - One Step Ahead (Official Video)

オーストラリアにおいても、こうしたプレゴシック・ロック的な音楽として、例えばSkyhooks、The Reelsなどの名前が挙げられる。

Horror Movie (2015 Remaster)

ということで、この地域もポストパンクの時代となった。例えば、『Computer Games』があまりにも有名すぎるオーストラリアのMi-Sexなどは、同じアルバムの他の楽曲にはバリバリのポストパンク的な楽曲がある。

Mi-Sex - Computer Games

こうしてオーストラリアからも世界的に知名度の高い、Models、The Scientistsなどが出てくる。

また、後にゴシック・ロック黎明期の代表的なバンドとなり、未だにゴスにとっては一人のファッションリーダーであるニック・ケイヴを輩出する、The Boys Next Door、つまり後のThe Birthday Partyがオーストラリア出身な点と、1973年結成という点は割と見逃されがちである。

ポストパンク~ゴシック・ロック黎明期の時代

オーストラリアやニュージーランドの人々にとってそこそこ強調されているのが、イギリスやアメリカの動向に括られるバンドたちが、結構これらの地域出身である場合があることである(ゴスなテクノ領域ではSevered Headsあたりもだが)。

例えば、The Church、Divinyls、前述のThe Birthday Party、Foetus、Dead Can Dance、Died Prettyあたりは、ことごとくオーストラリアのバンドである。

Almost With You (2002 Digital Remaster)

ということなので、ニック・ケイヴのプロジェクトである、Nick Cave and the Bad Seedsあたりも、含めようと思えば動向に含められる。

Nick Cave & The Bad Seeds - From Her to Eternity (Official Audio)

ただ、このニック・ケイヴのプロジェクトには、The Wreckeryなど地元のバンドが関わっているので、必ずしもオーストラリアに根差していないわけではないということは強調しておく。

No Shoes For This Road

一方、ニュージーランドでも、Danse Macabre、The Pin Groupらが1981年にさっそく結成された。

Pin Group - Ambivalence (Official Audio)

1980年代の純粋なゴシック・ロックの動向

で、こうした土壌から、1980年代に完全にゴシック・ロックのバンドとしてくくれる一派が出てくることとなった。

オーストラリアの場合、Ducks in Formation、Dorian Gray、Gravity Pirates、Toys Went Berserk、Murder Murder Suicide、I Spartacusなどである。

This Way to the Cargo Cult
Guns at My Head (Bonus Track)

ニュージーランドには、1983年結成のSons in Jeopardyなどもいる。

ただ、正直言って、1980年代のこの地域は、イギリスやアメリカで一山当てる上記のようなバンドがいたにもかかわらず、シングルがかろうじて残っている程度のバンドが多い。よって、ほとんど小規模なコミュニティにとどまっていたと思われる。

なお、この後展開されるオルタナティブロックなどに接近していくバンドとして、オーストラリアのThe Mark of Cain、Hard Candyの名前が挙げられる(この2バンドはどう聴いても原義的なゴシック・ロックではない)。

Battlesick (Remastered)

1990年代の動向

ところが、1990年代から、オーストラリアには有名なバンドが出てくる。Lemon Avenue、Ikon、Big Electric Catあたりである。

In the Shadow of the Angel
Orchid Dreaming (2021 Remastered Version)

また、Lemon Avenueのメンバーが運営したLeft as in Sinisterや、Heartland Recordsといったレーベルが、若手を支援した結果、ある程度の活性化につながった。

Subterfuge、Meridian、Leviathan、Love Lies Bleedingといったバンドが知られる。

また、イギリスのCocteau Twinsみたいなエテーラル・ウェーブ的な音楽として、Ostia、Scissor Prettyが知られる。

この辺に関してはニュージーランドも同様で、Club Bizarreといった地元のクラブの支援で、若干の活性化があった。Burnt Weeping Eyes、Reserved for Emily、Winterlandあたりがこの時期のバンドである。

なお、近い地域なのでオーストラリアとニュージーランドの両方の人間が参加しているバンドとして、Disjecta Membraが知られる。

Disjecta Membra - Rasputin

21世紀の動向

この後、インダストリアルやEBM、ゴシック・メタルに圧されつつも、1980年代的な音楽のリバイバルで躍進していくバンドが出てきたのは、この地域も同様である。例えば、オーストラリア出身のこのリバイバルに一役買った存在として、Empire Of The Sunの名前が挙げられる。

Empire Of The Sun - We Are The People (Official Music Video)

2000年代デビュー組として、The Dark Shadows、13 Bat(現在はBat Nouveau)、2010年代デビュー組として、Ascetic、Sounds Like Winter、Nerve Quakes、Death Church、Panic Syndrome、Other、Masses、Rule of Thirdsあたりの名前が挙げられる

The Dark Shadows - Eisbär (official video clip)
The Wedding Feast Sounds Like Winter
Nerve Quakes - Celestial music video 4K

南アフリカ共和国の動向

正直、有名なバンドを列挙できるだけなので、この記事に含める。

ざっくりとした外観

1983年にすでにDog Detachmentがいるなど、この地域もポストパンクの動向に関わっていた。

1980年代後半になると、いくつか地域を代表するバンドが見られる。例えば、No Friends of Harry、The Gathering(同名のゴシック・メタルバンドとは別)、The Awakening(ややこしいが、後世南アフリカの代表的なバンドと同名のケープタウンのバンド)、The Attic Muse、The Autumn Ritual、The Death Flowers of Nocypher(The Lords of Gehennaに改名)、Penguins in Bondageなどが挙げられる。

ただ、これらのバンドはほぼコンピレーションアルバムなどでしか記録に残っておらず、ほぼ詳細は不明。

しかし、1990年代になるとThe Awakening(一般的な南アフリカ共和国の代表格である、ヨハネスブルクの方のバンド)、The Eternal Chapter、Descendants of Cainなどが出てくる。

が、正直最近もThe Awakeningが伝統的なゴシック・ロックに回帰したくらいしか書けることはあんまりなかったりする。

参考文献

ウェブサイト

オーストラリア・ニュージーランド

南アフリカ共和国

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