デスロック(Death Rock)とは、デスメタルとは何一つ関係ない音楽ジャンルである(後バンドのDeathも関係ない)。端的に言うとアメリカでゴシック・ロックみたいなことをやっていた(とヨーロッパ側からは思われていた)メンツを指して、主にデスロックと呼んでいるのである。
ただし、あくまでもアメリカ版ゴシック・ロックと勝手に思われていた、が味噌である。本人たちとしてはパンクロックの一派がおおよそポストパンクと同じような発想に至り、ゴシック・ロックみたいな世界観も醸し出してたまたま同時代的に似たようなことをやってた、以上、というわけである。ただし、後々ある程度大陸をまたいでゴシック・ロック側と連携した、という関わり合いの程度もあり、音楽性もゴシック・ロックと似ているようで似ていない、言ってみればドッペルゲンガー的な音楽なのである。
という、上記経緯によって、ゴシック・ロックとデスロックって同じじゃないのとか、デスロックってゴシック・ロックの一種でしょとかは、ゴスに言うと戦争になりかねない言葉の一つだったりする。
前史
デスロックという文言もまたゴシック・ロック同様、昔いたそんな感じのバンドみたいな連中が最近また現れ始めた、ということを述べるためにたまたま使われたに過ぎない。
この先駆者の本来のデスロックというジャンルとされているのが、1958年のジョディ・レイノルズの『Endless Sleep』から1964年のJ・フランク・ウィルソンの『Last Kiss』くらいまでを射程に取った、1960年前後の音楽である。早い話、これらの曲はティーンエージャーが死ぬような青臭い歌であるのだが、口語的な歌詞や、効果音の多用などで、7年くらいは流行るほど、一定の存在感を残したのであった。
この代表格が、The Shangri-Lasの『Leader of the Pack』である。
正直これらの楽曲は、この狭義のデスロックには何も関係ない。ただし、1974年にジーン・グリアが今の音楽にあのデスロックみたいなやつと述べた言及があるように、アメリカ西海岸で1970年代のパンクシーンの一部をあのデスロックみたいな音楽と言及するのが時折出て来たのである。
上記の通り、この記事で触れるデスロックに本来のデスロックは何も関係ない。むしろ、より影響を与えるのは、アメリカでホラーを題材にした音楽がポピュラーカルチャー側でも流行っていた点である。
その代表格こそ、ゴシック・ロックの記事ですでに触れてしまった1950年代後半のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスだったりするのだが、既出なので名前を挙げるのみにする。やはり、アメリカ、古い時代のポップス、ホラー路線として、真っ先に来るのが、1962年にMonster Mashを流行させた、ボビー・ピケットである。
他にも、Don Hinson and Rigo Morticiansの『riboflavin-flavored non-carbonated polyunsaturated blood』あたりも割合回顧される曲である。
また、イギリスでもビートルズの時代の直前の流行として時折言及される、スクリーミング・ロード・サッチの『Murder in the Graveyard』なども流行っていた。
ということで、実はアメリカとイギリスでは、ほぼ同時代的にホラーな世界観を打ち出したアーティストや、アリス・クーパーやKISSなどのライブなどで醸し出す世界観をより増幅させるような濃い見た目のバンドが出ていた。ということなので、実はこの辺の世界観やビジュアル、イギリスのデビット・ボウイあたりのグラムロックに影響された音楽性など、土壌としてはゴシック・ロックとほぼ同じだったのである。
加えて、彼らの世界観を導いた元ネタは、ホラー映画も大きな要素を占める。例えば、かの有名なゾンビ映画『Night of the Living Dead』が上映されたのは1968年で、デスロックの初期の旗印たちがちょうど若いころに見ているくらいである。他にも『The Addams Family』、『The Munsters』『The Twilight Zone』、『Dark Shadows』あたりの、最近でもこの手の楽曲でYouTubeでAMVが作られるド定番のモンスターとかが出るテレビ番組も、ちょうどこの時期である。
また、こうしたホラー映画を各地域で紹介する際の司会者が、例えばロサンゼルスのVampira、Elvira 、フィラデルフィアやニューヨークのJohn Zacherle、クリーブランドのGhoulardiと、これまたそういう格好をしたローカルタレントだった。こういう、各地のホラーの伝道師的な人々が、若者たちの心に残ったとか残ってないとかも言われている。
ただ、実はぶっちゃけ言うと、ゴシック・ロックを基礎を完成させた最初の一撃として名高いBauhausの『Bela Lugosi’s Dead』のベラ・ルゴーシとは、ファンにはおなじみだが、吸血鬼役に定評があった20世紀前半のハリウッドスターである。よって、この辺も、イギリスのゴシック・ロックとアメリカのデスロックは大体同じような土壌から生まれたことを示す例となる。
デスロックの誕生
ということなので、ここまでお読みの読者は、このゴシック・ロックとデスロックの2つって何が違うの?という最初に挙げた禁句みたいな疑問を抱くのは、全く不思議ではない。しかし、両者を大きく分けたのは、地域が地球の正反対レベルで全く異なるので、直接かかわる先輩バンドが違い、彼らとの距離感も割と違ったというそれはもう当たり前のことであった。
ようやく成立に移ると、1970年代半ばから、パンクロックの流行を受けて、ロサンゼルスにもThe Runaways、The Weirdos、The Germsといったパンクロックのバンドが現れ始めた。というか、パンクロックのファンには当たり前の事実かもしれないが、ロサンゼルスなどのカリフォルニア州はアメリカにおけるパンクロックの一大拠点と化した。
そしてちょうどこの時期の1978年、あまりにも猫も杓子もパンクロックバンドを結成するようなロサンゼルスで、後世ハードコアパンクと呼ばれるようになる、より攻撃性の高い新しいグループが誕生した。Middle Class、Black Flag、Vicious Circle、Fear、The Circle Jerksがその面々である。
つまり、端的に言うと、イギリスに比べると一回り上の世代が担っていた正統派パンクロックと、もっと攻撃的な音楽を好む若い世代のハードコアパンクが音楽シーンで争っていたのが、この時期のカリフォルニアである。
そして本題に戻るが、デスロックとは、この古い(といってもせいぜいここ数年流行ったくらいのジャンル)正統派なパンクから、もっと過激なハードコアパンクまで、自己表現をするために何でもありな状態になっていたパンクシーンの、一分派として生を受けた。というよりも当時としては一緒にパンクやってる連中の一部がなんか独特の世界観を持ち込んでいた、以上、である。
しかも、後世本人たちが語っているところを見たところ、The Germsのボーカルのダービー・クラッシュが自殺して悲しい気持ちになっていたら、なんか死とかそういう感じの歌を歌いたい気になっていたということらしい。ということなので、たまたまなんか暗い死とか歌いたい気になったバンドが同時多発的に狭いコミュニティの中で一定数出てきたら、ジャンルとして成立してしまっただけ、とも言える。
つまり、The Flesh Eaters、Kommunity FK、45 Grave、Christian Death、The Gun Club、Super Heroines、Pompeii 99、Voodoo Church、Ex-VoTo、Burning Image、Radio Werewolfといった、1977年~1984年くらいにカリフォルニアでデビューした(他にもネバダ州のTheatre of Ice、アリゾナ州のMighty Sphincterなんかもいるが)デスロックの最初の世代を一言で言ってしまおう。西海岸の狭いバンドコミュニティの中で、なんか尖ったことしたいの自己表現がたまたまこの路線だった奴らに名前付いただけ。
なお、ここまでグダグダ書いてきたが、ここでようやく、なんでこの人たちがデスロックと言われるかに戻る。この全く無関係なデスロックという文言も、最初に書いた通り西海岸でデスロックみたいな音楽やってる連中今いるよね?という定期的に出てくる話題が、たまたまジャンルの名前として残った、それだけである。
例えば、この狭義のデスロックのカリスマバンドの一つであるChristian Deathのロズ・ウィリアムズが、自分たちのことをデスロックだよねなどと言ったりしているうちに、1979年の『They Eat Scum』という映画には既にフィクション上の架空のデスロックバンドなるものが出ているようになる。ので、イギリスのゴシック・ロックと比べてもさらにふわっとした感じで定着してしまったようだ。
というか、当初このデスロック勢は上記の通りなんか一緒にウィーアーしていた連中が暗い世界観押し出し始めたな…?くらいの受け止められ方をしていた。この頃はまだパンクやハードコアパンク、もっと言えばニューウェーブなんかと一緒に対バンなどしていたのである。
ということで、ようやくデスロックの歴史に移りたい。ここまで見てきたようにデスロックとは自己表現の手段として死とか異形の化け物とかをモチーフにしただけの雑多な存在である。よって、例えば45 Grave、The Flesh Eaters、T.S.O.L.は見た目重視な後述のホラー・パンクに近い存在である(というかデスロックの代表格扱いされるT.S.O.L.は少し前に出て来たハードコアパンク第一世代のVicious Circleが名前変えただけの存在)。というか、この辺の連中は聴けばわかるが、普通にパンクである。
The Gun Clubは、歌詞が独特なだけで音楽としては伝統的なロサンゼルスのパンクである。
しかし、それに対し、Christian Death、Super Heroines、Voodoo Church、Theater of Ice、Kommunity FK、13.13といったバンドはUKロックのポストパンクに近いことをやっている。
代表的なバンド
- Burning Image
- Christian Death
- Ex-VoTo
- The Flesh Eaters
- The Gun Club
- Kommunity FK
- Mighty Sphincter
- Pompeii 99
- Radio Werewolf
- Super Heroines
- Theatre of Ice
- T.S.O.L.
- Voodoo Church
- 13.13
- 45 Grave
デスロックとゴシック・ロックの相互交流と、デスロックの拡散
こうしてイギリスではゴシック・ロックが、アメリカではデスロックが確立されつつあるなか、端的に言えばお互いの存在に気づいた。つまり、1980年頃からイギリスのゴシック・ロックの面々がアメリカツアーをしたり、アメリカのデスロックの面々がヨーロッパツアーをしたりした結果、相互交流が生まれたのである。
ここで、なんか近い事やろうとしてる仲間がいて、しかも微妙に違うところがあるなとなった結果、お互い相手の自分にはないところを新しいことをするために取り込もうとする結果に至った。例えば、イギリスのゴシック・ロック側では、Sex Gang Children、Southern Death Cult、Brigandage、Blood and Roses、Ritualといった、日本でぱっとポジティブパンクとイメージされるバンドが、このアメリカに感化された最初の世代である。つまり、ゴシック・ロックにメロディックなリード楽器やネイティブアメリカンのメイクめいたビジュアルなど、明らかにデスロックの要素を取り込もうとしているのである。
ゴシック・ロックのメッカであるクラブ「Batcave」でデビューした世代としても、Specimen、Alien Sex Fiendあたりもこのデスロックに感化された層で、彼らはいわゆるゴシック・ロックの始祖たちの音楽性に新しい要素を接木した最初の世代ともいえる。
そして、この動きは、逆にアメリカにも影響を与える(Kommunity FKなど明らかにゴシック・ロックのバンドたちと歩調を合わせ始めるなど)。というか、イギリスにはゴシック・ロックとかいうなんか新しいことやろうとしているバンドがいたが、俺たちのアメリカにもデスロックみたいなノリのことをやっている連中がいるらしいと、ついに国規模でデスロックのムーブメントが始まったのがこの経緯である。
ここまで触れてこなかったが、実は狭義のデスロックとは全くパラレルな、似たようなことをやっていた人々がアメリカ大陸の正反対にいた。ゴシック・ロックの記事でも触れたThe CrampsやThe Misfitsなど、東海岸のニューヨークにB級ホラー映画のテイストを自分たちの世界観に取り入れた、ホラー・パンクと呼ばれる同類がいたのである。もっとも、このニューヨークの連中と、ここまで見てきたカリフォルニアの連中はお互いに孤立しており、ここまで全く交流がなかった。
The CrampsとThe Misfitsは、言ってしまえばアメリカにおけるパンクロック史のレジェンドバンドの一翼である。ということで、カリフォルニアを中心としたデスロックとは無関係ながらも、アンダーグラウンドのシーンで暗い世界観をビジュアルなどで用いる手法は、東海岸でも伝説のバンドがやっていたやり方として、ある種の正典と化したのである。
ここで、西海岸のデスロック勢、東海岸のホラー・パンク勢、イギリスのゴシック・ロック勢が、相互交流を持ったことで、英語圏でパンクロックやそれをベースに新しい音楽をやろうとして、なおかつ世界観が暗いバンドが、共通化された。つまり、別々のムーブメントが合流し、ふわっとだいたいこんな感じのかっこいい存在という漠然としたイメージがファンごと広い地域で定着したのである。
そして、この結果、ゴシック・ロックやデスロックのパブリックイメージとなったのはBatcaveのSpecimenやAlien Sex Fiendみたいなやつであり、それがアメリカに逆輸入された。また、デスロックのここまで見てきた大御所たちは、映画『Return of the Living Dead』のサウンドトラックとして多くが採用され、だいたいこんな音楽というベースも生まれつつあった。
こうして、1983年を境に、他の州でデスロックと呼ばれるバンドの結成が相次ぐ。Samhain、Holy Cow、Gargoyle Socks、Shadow of Fear、Requiem in Whiteといったバンドは、カリフォルニアではない。
さらに、反対側の東海岸にあるニューヨークが一大拠点となり、Scarecrow、Of a Mesh、Chop Shop、Fahrenheit 451、The Naked and the Dead、Brain Eater、Children’s Zoo、Plague、Okhranaといった具合に、1980年代半ばデビュー組が大量にいる。
一方、この頃、西海岸にはまだ、 Mephisto Walz、Screams for Tinaといったデスロックの新しい芽が出続けていた。
代表的なバンド
- Brain Eater
- Children’s Zoo
- Chop Shop
- Fahrenheit 451
- Gargoyle Socks
- Holy Cow
- Mephisto Walz
- The Naked and the Dead
- Of a Mesh
- Okhrana
- Plague
- Requiem in White
- Samhain
- Scarecrow
- Screams for Tina
- Shadow of Fear
デスロックの終焉
しかし、この後、一言で言えばデスロックはしぼんだ。というか、この現象を言い表すと、以下の2要素に分かれる。外来種であるゴシック・ロック、およびゴス文化が、在来種であったデスロック文化をほぼ駆逐して塗り替えてしまった。さらにゴシック・ロック自体第1波から第2波に移る中でインダストリアルやEBM、ゴシック・メタルに圧されマイノリティになった。
1990年代中頃まで、アメリカは第2波ゴシック・ロックと歩みを合わせるバンドが多く生まれた。Red Temple Spirits、Death Ride 69、Autumn Cathedral、The Wake、London After Midnight、The Shroud、The Prophetess、Blade Fetish、Judith、Mors Syphilitica、Shadow Projectといった面々である。
しかし、これらのバンドは、はっきり言ってしまえば、漠然とデスロックとゴシック・ロックとその他ゴスの好きそうな音楽ジャンルをルーツとしていたなんか雑多な存在であった。つまり、カリフォルニアの音楽シーンであるデスロックは、前述の映画『Return of the Living Dead』の上映が終わるころには、ほぼ風前の灯火だったと言える。
例えば、Requiem in White、Mors Syphilitica、This Ascension、Trance to the Sunあたりは、イギリスのCocteau Twinsのような、ドリームポップ、エテーラル・ウェーブ系であって、明らかにデスロックの伝統にもいない。
Faith and the MuseやThe Moorsのようにワールドミュージックとの間の子みたいなバンドも存在した。
この中で特筆すべきなのはLondon After Midnightである。アメリカの1990年代のゴス層の聴いていそうなバンド筆頭なのだが、彼らもハードロックやグラムメタル的な感じの存在であり、そら人気出るわみたいなハードで派手なビジュアルの、割と特異な存在なのである。
とはいえ、1990年代半ばくらいまでは、このデスロックとゴシック・ロックとその他もろもろをちゃんぽんさせたようなバンドという現象は続いていく。Sunshine Blind、The Deep Eynde、Stone 588、Black Atmosphere、Praise of Folly、Autumn、The Last Dance、Ninth Circleあたりがこの頃のデビュー組である。
ただ、結局のところ、このデスロックではなく、ゴシック・ロックっぽいことをやっているバンドというくくりの面々も1990年代後半に途絶える。各記事で散々触れているが、インダストリアルやメタルをゴスも好むようになったという経緯である。
代表的なバンド
こいつらデスロックではなくない?というのは本文に記載の通り
- Autumn
- Autumn Cathedral
- Black Atmosphere
- Blade Fetish
- Death Ride 69
- The Deep Eynde
- London After Midnight
- Judith
- The Last Dance
- Mors Syphilitica
- Ninth Circle
- Praise of Folly
- The Prophetess
- Red Temple Spirits
- Shadow Project
- Stone 588
- Sunshine Blind
- The Shroud
- The Wake
デスロックの2度のリバイバル
しかし、いわゆるサイバーゴスと呼ばれる、バンド音楽は全く聴かず、EBMなどに合わせてレイヴで踊る層を見て、本当にギターなんかがないものを聴いている現状でいいのかという、めんどくさい層が結集し始めた。また、ゴシック・ロックとデスロックは本来別のムーブメントだったはずなのに、最近ゴスの一分派みたいな扱いされてていいのかという、めんどくさい層が結集し始めた。こうして第1次デスロックリバイバルが開始された。
要するに踊ってアガれるかどうかが音楽の指標になりつつある中、例えば1995年結成のAntiworldのような、ロック、それも自分たちのルーツであるデスロックに回帰しようとする動きが出て来たのである。
そして、実際に以後のリバイバルを主導していったのは、東海岸のThe Skabs、西海岸のThe Phantom Limbs、Black Iceといった面々の世代である。この世代は、Antiworldほどロックにこだわっているわけではなく、ゴシック・ロックの第3波と同様、古典的なサウンドにエレクトロニクスを導入した点が特徴である
他にもある時期以降のSubtonixや、Veronica Lipgloss and the Evil Eyesあたりも世紀が変わるころに活躍した。
実際Cinema Strange、Murder at the Registry、Bloody Dead and Sexyのようなインダストリアルと肩を並べる人気を持つバンドも現れた。というか、ゴシック・ロックと同様、インターネットの発達で、ようやくデスロックっていうジャンルがあったというのが、定着し始めた。
2004年頃までにAll Gone Dead、Tragic Blackといった新しい世代の広告塔も出て来たが、ゴサビリー、ホラー・パンクなどと合わせてディグられているうちに、過剰に戯画化された古典的なビジュアルイメージが次第に先行し始めた。結局、2005年頃を境に第1次リバイバルブームは音楽性としてはしぼみ始めた。
しかし、次第にハードコアパンクをやっていた若手たちが、逆にこの2005年頃から、自分たちのルーツ頃にいたデスロックたちの音楽性を掘り起こし始める。その影響源となったとされるのが、Observers(後のThe Red Dons)であったが、このObserversを境に、Remains of the Day、Germ Attakなど、単なるビジュアル表現の影響元ではなく、音楽性のルーツ探しとして1980年前後の音楽の掘り起こしに流れが変わった。
そして、こうしたバンドの影響もあって、2010年代以降、第2次デスロックリバイバルが始まる。割と代表格とされるのが、Fangs on Fur、Rule of Thirds、Crimson Scarlet、Blue Cross、Catholic Spitらである。
例えば、伝統的なデスロックでありながら、ダンサブルな楽曲を作るArctic Flowersや、Dekoder、Tanzkommando Untergang、Christ vs Warholといった1980年代的なサウンドを作るフィメールバンドと、音楽的にデスロックであるとされる人々が多く出て来たのである。また、Christ vs WarholはFangs on Furとともにカリフォルニアのデスロックシーンを主導している。
そして、サンフランシスコからカナダのバンクーバーに至るアメリカの西海岸の北側が、このムーブメントのメッカである。The Spectres、Modern Creatures、Dead Cult、Alaric、Atriarch、Bellicose Minds、Moral Hex、Vivid Sektといった有象無象のバンドがいるのである。
そして、このリバイバルは、ゴシック・ロック第四波と同様、世界規模である。東海岸のLost Tribe、Anasazi、Agnostic Prayあたりはともかく、イタリアのDystopian Society、Horror Vacuii、スペインのNaughty Zombies、Los Carniceros del Norte、Las Gorgonas、Eyaculacion Post-Mortem、DESENTERRADAS、メキシコのAcid Bats、日本のNEHANN、イギリスのPeers On Pyresあたりもデスロックの文脈におかれる。
より最近の若手となると、DETOXI、Rosegarden Funeral Party、Vueltas、New Skeletal Faces、Mystic Priestess、Altar De Fey、Vision of the Voidあたりが挙げられる。
代表的なバンド
- Acid Bats
- Agnostic Pray
- Alaric
- Altar De Fey
- Anasazi
- Antiworld
- Arctic Flowers
- Atriarch
- Bellicose Minds
- Black Ice
- Blue Cross
- Catholic Spit
- Christ vs Warhol
- Crimson Scarlet
- Dead Cult
- Dekoder
- DESENTERRADAS
- DETOXI
- Dystopian Society
- Eyaculacion Post-Mortem
- Fangs on Fur
- Horror Vacuii
- Las Gorgonas
- Los Carniceros del Norte
- Lost Tribe
- Modern Creatures
- Moral Hex
- Mystic Priestess
- Naughty Zombies
- NEHANN
- New Skeletal Faces
- Peers On Pyres
- The Phantom Limbs
- Rosegarden Funeral Party
- Rule of Thirds
- The Skabs
- The Spectres
- Tanzkommando Untergang
- Vision of the Void
- Vivid Sekt
- Vueltas
参考文献
書籍
- Bean, Mikey(2021)『Phantoms: The Rise of Deathrock from the LA Punk Scene』
ウェブサイト
- Deathrock: A Brief History, Part I – Souciant
- A Brief History of Deathrock, Part II – Souciant
- A Brief History of Deathrock, Part III – Souciant
2012年という割合早い時期に書かれたが、初期から第2次リバイバルくらいまでをおおよそつかむことができる
- deathrock wiki | Last.fm
いわゆるオタクが好き勝手まとめた記事で、独自研究まみれかつ1980年代中ごろ以降どのジャンルの話をしているのかわからなくなるが、前史までであればある程度どういう文脈があるのか把握できる - Five Current Deathrock Bands You Should Definitely Be Listening To — Post-Punk.com
- Five MORE Current Deathrock Bands You Should Definitely Be Listening To — Post-Punk.com
2020年代初頭に書かれており、いわゆる第2次リバイバルを踏まえてどんなバンドが躍り出たかがわかる
- Five MORE Current Deathrock Bands You Should Definitely Be Listening To — Post-Punk.com